今朝の東京新聞一面トップ記事は、新型インフルでした。

新型インフル国内初死者
沖縄57歳男性 腎臓など疾患



沖縄県は十五日、新型インフルエンザに感染した沖縄県宜野湾市の男性(57)が入院先の病院で死亡したと
発表した。厚生労働省によると国内では五月に初の感染者が確認されて以来、死者は初めて。
 県によると、男性は心筋梗塞の治療歴があり、慢性腎不全で人工透析を受けていた。新型インフルエンザに
感染したことで肺炎を併発、その後、敗血症を起こしたことが死因とみられる。県は「心疾患や慢性腎不全の
持病があり、免疫力が落ちている状態で新型インフルエンザに感染し、急速に容体が悪化した」と説明している。
 総選挙の遊説のため現地にいた舛添要一厚労相は同日、那覇空港で記者会見し、死亡した男性の検体を国立
感染症研究所に持ち込み、ウイルスの変異の有無を確認する考えを示した。
 男性は九日午後から、のどの痛みなどの体調不良を訴えていた。十日に病院で透析を受けた際、三七度台の
発熱があったため簡易検査を受けたが、結果は陰性だった。
 しかし十二日、透析中に三九度まで体温が上昇したことから、再度検査を受けたところインフルエンザA型
陽性と判明。タミフルを投薬され中部徳洲会病院(同県沖縄市)に入院したが、十四日未明から容体が悪化し、
十五日午前六時五十四分に死亡した。
 県が緊急に感染確認のための詳細(PCR)検査を行った結果、十五日午後四時ごろ、新型インフルエンザに感染
していたことが分かった。
 新型インフルエンザは数日間の潜伏期間があり、感染時期は今月五〜六日ごろとみられるが、感染源は不明。
家族などに症状はなく、院内感染を示す情報もないという。男性に海外渡航歴はない。
 国は新型インフルエンザに関する国内対策の運用指針を六月十九日に改定し、対策の重点を重症者に移して
いた。現在は、すべての一般医療機関で感染者を診察し、軽症者は自宅療養としている。ぜんそくなど重症化
の恐れがある人には抗インフルエンザ薬の投与やPCR検査を優先的に実施し、迅速な対応を取るとされている。



冷静な対応を 首相呼び掛け



麻生太郎首相は十五日、新型インフルエンザによる国内初の死者が沖縄県で確認さあれたことを受け、
「国や地方自治体が発する情報をよく聞いて、警戒を怠らない一方、冷静な行動をお願いする」と国民に
呼び掛ける談話を発表した。
 談話は、「政府は秋冬に向けて、医療体制の整備や新型インフルエンザワクチンの接種体制の整備に鋭意
取り組んでいる。状況の変化を注視しつつ、対策に当っていくなどとしている。



新型インフルエンザ(H1N1型)
豚インフルエンザウイルスが、人に感染しやすく性質を変えて生まれた。世界保健機関(WHO)はメキシコ、
米国での患者急増を受け、世界的大流行(パンデミック)を起こす危険がある新ウイルスと認定。6月11日
(現地時間)には警戒水準をフェーズ6に引き上げ、パンデミックを宣言した。主症状は高熱、のどの痛み、
筋肉痛など通常のインフルエンザと同じ。



解説 夏でも感染者数急増
重症化防止対策課題に



国内で新型インフルエンザの感染者は五千人を超え真夏も衰えを見せない。定点報告患者数は七月から
八月にかけ、週ごとに倍増の勢いだ。死者が出なかったのは、感染者が若者中心だったことや、
抗インフルエンザ薬により早期に治療が行われたためとみられる。
 以前から、免疫が抑えられている妊婦や、ぜんそく、腎臓病、心臓病など基礎疾患を持つ人は重症化
しやすいとされてきた。今回の死亡例は、ハイリスク群の人々にもウイルスが侵入し始めたことを示して
おり、こうした人たちへの支援策が最も重要な課題になる。
 秋以降、感染者の増加が予想さあれる中、重症者を受け入れる集中治療室は、全国に五千床程度しか
ない。ワクチンは製造が進んでいるものの、国民全員に行き渡る量はない。薬剤に耐性を持つウイルスの
出現も気掛かり。ただ病原性が高まるといった重大な変異は見つかっていない。
 永井美之・理化学研究所感染症研究ネットワーク支援センター長は「重症化を防ぐには患者の早期発見、
早期治療が最も有効。そのための医療体制を整備することや、耐性ウイルスにも効果のある新薬の開発を
急ぐべきだ」と指摘している。
 事態に冷静に対応し、限られた医療資源を無駄なく活用する工夫が求められる。 (社会部・吉田薫)






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