国民7人に1人「貧困」 東京新聞の記事です。
貧困率が高いOECD加盟国
順位 国 名 貧困率
1 メキシコ 18.4%
2 トルコ 17.5
3 米国 17.1
4 日本 14.9
5 アイルランド 14.8
6 韓国 14.6
ポーランド
8 スペイン 14.1
9 ポルトガル 12.9
10 ギリシャ 12.6
OECD平均 10.6
2000年代半ば。OECD統計で集計
ワーキングプア大国鮮明
国民の七人に一人が貧困状態。厚生労働省が二十日初公表した二〇〇七年の「相対的貧困率」で、こんな
日本の姿が浮かび上がった。貧困率15.7%は経済協力開発機構(OECD)の最新統計に当てはめると、上から
四位の高水準。OECD調査で貧困層の八割を働く人が占めるのが特徴だ。 (橋本誠)
仕送りできず・働いても低時給
「こんなに高かったのか。でも、今はもっとひどいのでは」。昨年暮れ、栃木県の自動車工場で派遣切りに
遭った男性(47)がつぶやいた。二年前は青森県でトラック運転手をしていた。「年収二百四十万円。
妻子と三人で暮らすのは楽ではなかった」と振り返る。
配送先の倒産で給料の大幅ダウンを迫られ退職。自動車工場の派遣契約も四ヵ月で打ち切られた。今は労働
組合が借りた東京都新宿区のアパートに身を寄せ、生活保護を受けながら仕事を探す。
「仕送りができず、妻の実家にいる中学生の息子の修学旅行費が心配。資格なしでできる仕事は月給十八万円
ほどだが、それすら見つからない。働きたいのに...」と焦る。
OECDが集計した二〇〇〇年代半ばの最新統計で、日本の貧困率は14.9%。メキシコや米国などに次いで四番目。
中でも貧困層全体に占める働く人の割合は82.8%で、加盟国中六番目。OECD平均の62.8%、米国の72%を上回った。
首都圏青年ユニオンの河添誠書記長は「細切れの雇用が広がって賃金水準が下がり、失業したときの雇用保険
の受給率も極めて低い。まともに働いてもまともに食えなくなっている」と指摘する。
一方、今回調査で十八歳未満の子どもの貧困率は14.2%。〇〇年代半ばのOECD調査で、働くひとり親家庭の
貧困率は58%とワーストだ。「しんぐるまざあず・ふぉーらむ」の赤石千衣子理事は「時給などの労働条件が悪く、
働くことが貧困削減につながらない。英国は二〇年までに子どもの貧困率をゼロにする計画を立てており、日本も
貧困をなくす義務がある」と話した。
政府は着手急務
湯浅誠・反貧困ネットワーク事務局長の話
一九九〇年代以降、雇用の崩壊とともにホームレスや母子家庭など社会的に弱い立場にある人々が真っ先に
貧困化した。「構造改革路線」の影の部分である貧困問題が社会問題にならず、対策も取られず、傷口は広がり
続けた。政権交代を起こしたのは、年収二百万、三百万円以下で余裕のない暮らしを営む人たちの「もう我慢
できない」という声なき声だ。初めての貧困率測定で、政府は貧困問題のスタートラインについた。