部長さんと話をするのは、なかなか大変です。

部屋にいることが分かっていても、大抵は、電話で話中です。電話の利点には、相手からは、
こちらの様子が見えないということがありますが、その利点を最大限に活用されているようです。
ある時など、電話しながら、目はパソコンに向かい、手は、何やら入力しています。また、広い
デスクに置かれた多くの書類に目を通しながら、電話されていることもしょっちゅうです。実際、
電話だけをしている姿というのは、あまり記憶にありません。その内に、携帯の電話も鳴りだします。
部屋の外には、お客様が待機しています。一方、職員もまた、部長さんの決裁を求めて、部屋に
入るタイミングを計っています。



ですから、部長室にいるからといって、直ぐに話が出来る訳ではありません。
話が途切れ途切れになってしまうのも止むを得ません。出直し、頃合を計って、部屋をのぞくと、
もう姿がありません。忙しい時には、本当に、いろいろ重なるようで、ひっきりなしの対応で、昼食が、
14時、15時ということも珍しくなく、16時にやっと食べられるというのも、週に何度かあるようです。
不規則な食事が体に良くないことは、十分承知されているのですが、物理的に無理なようです。



なかなか思うように時間がとれないため、メモか何か渡してもらえないかと言われ、軽く返事をして
しまったのですが、いざスペイン語にするとなると、事は簡単には運びません。最初の半年間お世話に
なった部の課長さんに応援を求めたのですが、この人もまた、電話をしながら、パソコンに入力して
いました。何だか、ここでは、そうするのが当たり前のようです。見ていて思うのは、お二人とも
忙しいのには変わりはないのですが、そんなそぶりが全くないということです。演技されている訳でも
ないし、ごく自然に対処されています。



メモ程度なのだからと、本当に軽い気持で添削してもらおうと思っていたのですが、とんでもない
勘違いのようでした。メモにも書式があるようです。
メールする場合と、文書で提出する場合とでは書式が異なるようです。文書を書く場合でも、地名から
日付、名前、役職名、省庁名と続き、それから、また、敬称が入った名前を書くことになるようです。
そうした本文に対して、添え書きのメモがつくことになります。



これまで、メモランドという名の書類は、休暇を取得する時に使うものだとばかり思っていたのですが、
その名の通り、全てのことに共通しているようで、何に対しても使えると言われました。



書式だけではなく、項目一つとっても、言葉が不足していました。
単語を並べておけば、理解してもらえるだろうという程度で考えていたのですが、第三者には通じない
ようです。文章は、先ず動詞から始まり、そうするのは、何のためなのかという目的語が必要だと指摘
されてしまいました。言われる通りなのですが、あくまで、簡単なメモ書きの積りでいましたから、
そういう意味では、スキだらけのものでした。アポイントなしで立ち寄り、10分もあればいいのではと
思っていましたが、いつの間にか、昼時間に食い込んでいて、メモの中身も、ほとんど添削されて
しまいました。



仕切り直しもいいところで、昼食後に、取り掛かることになりましたが、今度は、言葉が読み取れません。
どの言葉に対応したものなのか、その時には、分かっていたのですが、一人になってしまうと、先に
進めません。隣の席の人に、読んでもらって思い出しました。



半日もあれば、十分だと思っていたことが、1日では足りず、2日がかりになってしまいました。
日本語なら本当に10分もあれば済むようなことが、スペイン語で書くだけで、こんなにも時間がかかって
しまいます。でも、あのままで提出していたら、それはそれで、可笑しなことになってしまっていた
のでしょう。添削してもらえる先生を見つけたことを感謝しなければなりませんし、忙しいことを少しも
見せないで、ノーアポイントでも受け入れてもらえたことにも感謝しなければなりません。
何も恩返しできませんが、指摘されたことは、少しでも覚えていきたいものと思いました。



普段は、部長、課長など、役職名で呼ぶことはなく、名前や愛称になりますので、こうして、役職名を
書くと何だか遠い昔か、別な世界を見るような思いがします。役職のさん付けも馴染みがないのですが、
ここでは、もっと可愛らしく言わないと実際を表現していないように思えてしまいます。







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