事故に遭いましたが、無事でした。





太平洋岸に面したホンジュラスの南部プンタ・ラトンで、海亀の産卵を見る予定でした。
地名のプンタ・ラトンは、ネズミ岬という意味ですが、実際にネズミがたくさんいる訳ではないそうです。



あいにくの小雨でしたが、海亀の産卵観察ツアーは決行されました。ツアーは、2泊3日です。参加者は、男女
ほぼ半々の9名で、全員大学生でした。1人オランダ人女性が参加していました。日曜日には、日本人会主催の
運動会が予定されていますので、1泊2日で帰るために、乗用車でツアーバスを追走しました。



ペダゴヒカ大学前で14時半に待ち合わせて、出発したのは、15時半頃でした。天候は、雨から霧に変わり、
車はライトをつけて走行していました。テグシガルパから、28kmほどの地点で、渋滞になっていました。
その状況を写真に撮り、車に戻りました。右側後部座席に座っていました。



突然、前の座席に顔をぶつけてしまいました。
何が起こったのか分かりません。右側の路肩を、何かが通り過ぎたようです。帽子が飛ばされ、髪の毛の間には、
ガラスの破片がありました。頭を触った手には、血が付いていました。そして、乗用車の後部は、押しつぶされて
いました。信じられないことが、現実に起こってしまいました。車から出ると、少しふらつきましたが、それ以上
の異常は感じられませんでした。他の3人は、無傷でした。前方で、大型トレーラーが傾いて停まっていました。
狭い路肩を、通り過ぎたようです。普通、車を追い越すのは左側です。もともと路肩には、大型トレーラーが
走れるスペースなどは、ありません。その大型トレーラーは、2台だったそうで、事故を起こした運転手は、車輌
を放置して、もう1台の大型トレーラーで逃げてしまったそうです。大型トレーラーのナンバープレートは、隣国
のものでした。運転手も慌てていたようで、プレートをはずすような余裕まではなかったようです。



運転席にいたMさんの話では、ブレーキは利いていなかったそうです。大型トレーラーに何があったのか、知る由
もありませんが、もしかしたら、居眠り運転だったのかも知れません。渋滞で停まっている車を、右側から追い越
すことなど、とても考えられません。



大型トレーラーは、荷物を何も積んでいなかったので、何かが通り抜けたように見えたようです。
いずれにしても、一瞬の出来事でした。



事故に遭った時間は、17時40分頃でした。
この日は、雨のために事故が重なっていたようで、警察官が来るのは遅くなるそうで、実際の到着は、20時頃
だったかも知れません。事故を起こした運転手が不在のまま、現場検証が行われました。保険会社の営業マンや、
移動のためのクレーン車輌もやってきました。



海亀産卵観察ツアーは、中止され、そのバスで、テグシガルパに戻りました。20時半頃でした。
道順に、空港近くに住む学生達を下ろし、緊急病院に寄ってもらいました。意識もあり、痛みなども感じては
いなかったのですが、念のために、検査してもらうことにました。病院に着いたのは、21時半頃でした。



既に、JICAホンジュラス事務所健康管理員のSさんが、ロビーで待っておられました。付き添ってもらって、
ドクターに診てもらいました。ドクターには、デジカメで写した事故後の車の様子を見てもらいました。



頭の傷を気にしていたのですが、ドクターは、胸や腹部、手足を圧迫して、体に痛みがあるかないかをチェック
されていました。痛みはありませんでした。それから、レントゲンで胸部、腹部、頭部、鼻などの写真を何枚も
撮られました。更に、採尿、採血での検査も行われました。



ドクターから、レントゲン写真の様子を、事細かに知らされました。結果は、異常は認められないというもの
でした。血液も尿も共に正常でしたので、ドクターは、スーパーカツミと言って驚かれていました。
但し、事故後は、24時間の経過を診るように言われました。そして、万一痛みがあった場合のための薬と、
筋肉の興奮を和らげる睡眠剤のような薬を購入するようにアドバイスされました。その後、頭の小さな傷を
洗ってもらいました。



一安心です。安心しました。



支払を済ませて、24時間営業の薬局で薬を購入して、JICA健康管理員Sさんにアパートまで、送ってもらいました。
気がついたら、とっくに日付が変わっていました。お役目とはいえ、JICA健康管理員Sさんには、勤務後、長時間
を付き添っていただきました。その間、とても心強く感じましたし、ありがたく思いました。



しかし、事故というのは、何時、何処で、どのように起こるのか、全く予測できません。停車した乗用車の中で、
前を向いて話をしていましたら、事故は、後ろからやってきました。車が1台、破壊されてしまうという大きな
事故でしたが、追突されなかったことが、不幸中の幸いでした。



もし、あの大型トレーラーで、後ろから直撃されていたら、ドクターが最初に診られたように、前後の座席で内臓
を圧迫され、あの世行きだったかも知れません。たとえ命をとりとめることが出来たにしても、重傷は免れなかった
ものと思われます。



それに、一般的には、大型トレーラーが路肩を走行することなどは考えにくく、ブレーキが利かないままに、前に
停車している車に追突する方が、話としては、自然なことのようにも思えます。そう考えますと、ますます不幸中
の幸だったということになります。事故に遭った時、ガイドのJ氏も、4人の無事を、神のご加護で、という言葉で
表現していました。緊急病院のドクターも、神のお陰でと、同じ表現をされていました。



ほんの僅かな差で、もしかしたら、ここで命を落としていたのかも知れません。
後数センチの差で、重傷を負っていたかも知れません。何処で、どのような力が働いていたなどということは分か
りません。でも、現実に、こんな体験をしますと、何か運命というようなものを感じさせられてしまいます。
本当に、ここで、人生が終わっていたのかも知れません。



幸いなことに、今、こうして、事故を報告することが出来ています。
自分に、どのようなことが求められているのかなどというようなことは、全く分かりませんが、これからの日々が、
新たな意味を持ってくることは間違いなさそうです。ホンジュラスの人達ではありませんが、神に感謝し、不幸中
の幸いの運命に感謝したいと思います。



JICA健康管理員のSさん、遅くまで面倒をみていただき、ありがとうございました。
担当調整員のOさん始め、JICAホンジュラス事務所の皆さんに、ご心配をおかけしてしまいましたが、お陰さまで
無事でした。謹んでご報告申し上げます。









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