テラからの帰路、エル・カホンと呼ばれているダムに寄りました。

このダムの名称は、エル・カホン・フランシスコ・モラサン水力発電ダムなのですが、
短くエル・カホン、または、単に、カホンと呼ばれ親しまれているようです。



辞書を引くと、カホンは、大箱、引き出し、屋台、闘牛輸送用の房のことで、ラテンアメリカでは、
峡谷、山峡の意味が加わり、更に、国によっては、棺桶を意味するようです。ダムの様相を表して
いるのかも知れません。



フランシスコ・モラサンは、1830年9月16日から1838年10月まで、中央アメリカ連邦の大統領だった人です。
現在、中央アメリカ連邦は存在しませんので、ホンジュラス大統領と同一視されています。生誕には、諸説
あるようですが、1792年10月16日に、テグシガルパのサン・ミゲル教会で、洗礼を受けたことが記されている
そうです。首都テグシガルパの県名や、モラサン通り、国立ペダゴヒカ大学始め、数多くの小学校の名前にも
使用されています。また、5レンピーラ紙幣には、フランシスコ・モラサンの横顔が印刷されています。



エル・カホンは、首都テグシガルパから180km、また、工業の主要都市サン・ペドロ・スーラからは、
80kmの所にあり、コマヤグア県、ジョロ県、コルテス県の3県にまたがっています。



ダムに着くまでに、3つのゲートがあり、兵士によって護られていました。



ホンジュラス最大の水力発電ダム・エル・カホンは、コマヤグア川と2本の大きな支流ウマヤ川、スラーコ川
との合流をやわらげ、スーラ流域の洪水を防ぎ、灌漑の役割を果たしているそうです。また、エル・カホン
ダムの魚は、海外へも輸出されているそうです。



エル・カホンダムの貯水能力は、最大5,700百万立方メートルで、通常の貯水容量は、4,200百万立方メートル、
表面積にすると、94平方キロメートルで、ダムの高さは、海抜301メートル、通常285メートル、最小は、
220メートルでオペレーションされているそうで、第1期工事では、300メガワット(30万キロワット)の電力
生産能力を備えているそうです。第2期工事でも、更に、300メガワットの電力生産能力があるそうですが、
実現には至っていないそうです。



ダムの高さは、世界10番目で、歩いて写真を撮っていたダムのアーチは、長さ282メートル、厚さ7メートルで、
世界では6番目の高さとなり、南半球では、1番だそうです。



1960年代、米国企業(Harza Engineering de Chicago)によって調査され、更に、1967年、スイス企業(Motor
Columbus Ingenieros Consultores de Suiza)による研究後の1980年6月15日に、イタリアImpregilo社、スイス
Losinger社、ドイツLublin社の3社合同で、エル・カホンダムの建設が始まりました。



生産される電力は、ホンジュラス国内の消費が主なのですが、隣国ニカラグアや、エル・サルバドルへも供給
されているそうです。エル・カホンダムの経済寿命は、50年間だそうですので、後20数年間使用可能という
ことになります。



新ダムの建設プロジェクトでは、ユネスコの自然世界遺産のモスキーティアで知られるグラシアス・ア・
ディオス県のパツゥーカ川を利用したものがあり、ホンジュラス最大面積のオランチョ県のカタカマス
フティカルパ、サンタ・マリア・デル・レアル、サン・フランシスコ・デ・ベセーラ間で、台湾企業が
高さ60メートル、73平方キロ、約100メガワット(10万キロワット)のダム建設を見込んでいるそうで、
5年から10年かかるようです。



今回は、ホンジュラスを、よりよく知るための出張だったのですが、北部海岸マイアミの都市計画
プロジェクトに続いて、ホンジュラス最大のエル・カホン水力発電ダムに案内してもらいました。






人気ブログ・ランキングへ