今日のNHKスペシャルは米投資銀行の興亡、5回シリーズの初回でした。

サブタイトルには、マネー資本主義、何故誰も止められなかったのか?とありました。金額の規模では、
4000兆円が消滅したと言われています。また、中国、フランス、ドイツ、日本など、世界中で、5000万人
の雇用が奪われたとも語られていました。



そして、金融危機を招いた仕掛人として、投資銀行が指摘されていました。



熾烈な競争が繰り広げられていた米投資銀行業界で、ソロモンブラザーズが、史上最大の発明と言われる
モーゲージ債(利回り11%)で、売上を急激に伸ばしていったところから始まったようです。



CEOと言われる人達の年収は、数十億円でした。ソロモンブラザーズのザ・ルームと呼ばれている所では、
数百人のトレーダーが、ひしめいていたそうです。



投資銀行は、仲買が本来業務なのだそうですが、自己勘定という新しいビジネスを始めたそうです。
1兆ドル市場と言われる住宅ローンなどの債権を買い取り、新型債権を商品にして、ウオール街全体の
4分の1を売り上げたそうです。商品を作るための材料を買うためには資金が必要で、リスクを伴う
レバレッジという自己資金の何倍もの借り入れを行っていったようです。



リスクを予感した役員が、金融は経済の補佐役であることを忘れてはならないと警告していたようですが、
半年後には解任されていました。



1985年冬、若手トレーダー達が、稼いでいる収益に対して給料が少ない不満をCEOに直訴しましたが、金を
出しているのは会社だ、少しは、わきまえろと押さえ込まれてしまいました。結果、ライバル会社からの
好条件の引き抜きに応じ、ノウハウが業界全体に広がってしまいました。現有トレーダーを保持するため
にも、巨額ボーナスを認めざるを得ず、無限の膨張の引き金になったようです。



実体経済GDPと、借用書で作られた経済は、釣り合わなければならないそうですが、借用書の経済は、10年
で倍になったそうです。1990年代のことで、自己勘定ビジネスの戦国時代に突入したことになるそうです。


 
支援体制、組織力、情報力などでは、ゴールドマン・サックス・トレーダーが、群を抜いていたようで、
売上を10年で10倍に伸ばし、世界の投資トレンドになったそうです。



中身が見えにくくなった新型債権の顧客には、年金基金や保険会社がなったそうですが、損をするかも知れ
ない福袋のようなものという言葉が遣われていました。1999年には、巨大商業銀行も参入し、時には、企業
の利益を上回る報酬が与えられたこともあったようです。



中でも、リーマンブラザーズは、他社が理解できないような、借り手に支払能力のないサブプライムローン
を材料にして売上を伸ばしていったそうです。そこには、金融は経済の補佐役と警告していた役員も加わって
いました。この時のコメントでは、許されれば極限までリスクをとり続けるというものでした。
この商品は、住宅価格が下がれば、直ぐに焦げ付くものだったそうです。



利益の51%が、自社株という形で社員に還元されていたそうですから、企業の利益イコール社員の利益に
なっていたようです。レバレッジは、40倍以上で、実体経済と借用書の経済の比率は、1対3.7で、限界に
達したそうです。



ウオール街の金融博物館が紹介されていました。
そこには、30年満期のモーゲージ債があり、2010年8月15日が満期となっていました。満期を迎える前に、
本体が消滅したことになります。かの役員は、天まで伸びる木はないと、テレビ画面に向かって、投げ
キッスしていました。



公聴会では、議長が金融危機の主役CEOに、強欲という言葉を使用して、倫理観を問いかけていましたが、
社会、あるいは、世界に対して、どれほど損害を与えるようなことをしても、取り締まるようなことは
できないようです。








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