今日もテレビの話題です。
山田太一スペシャル「小さな駅で降りる、企業戦士の妻達の反乱、最後に残るのは家族」という2時間半番組
を見ました。
食品卸会社に新設された社長直属の営業戦略部門に働く主人公が、企業のそれぞれの部門の現状を把握し、会社
の問題点が何処にあるのかを浮き彫りにしていこうとします。実務に追われる現場では、目の前の仕事をこなす
ことに精一杯で、余計な仕事をしたくもないし、仕事を振り返りたくもないようです。
食品メーカが、スーパーなどの客先へ直接取引をすれば、卸会社の存在理由が無くなってしまいかねないという、
業界が置かれている実情も伝えています。また、昔からの慣習で、客先がイベントなどを企画すると、卸会社に、
お金やマンパワーの支援も求められていたようです。
営業戦略に基づき合理的に仕事を進めようとすると、営業マンと客先との人間関係といった情や、しがらみ、
また、それまでの取引慣習に遮られてしまいます。机上の戦略とは裏腹に、相手の現場には、日々消費者に向き
合う最前線の現実があります。
男性が、家族や家のローンのために仕事に取り組む姿は、似たようなもので、世の男性の共感を得られそうです。
一方、主人公の妻にしてみれば、夫が会社でどのような仕事をしているのか、どのような立場なのかは、さして
問題でもなく、あまり関心もないようです。
日頃の夫の疲れた様子やグチから、このままでは夫が壊れてしまうことを危惧した部長と部下の妻達が共謀して
会社へ投書し、挙句の果てに、社長へ直訴してしまいます。そして、無能な役員の下で働きたくないといった
ことまで言われてしまいます。妻から背中を押された結果、退職を決意することになります。
退職した二組の家族が、一緒に家族旅行に出ます。得意先のスーパーの社長は、妻がアルツハイマーになった
ことで、長年の夢だった船旅をすることが出来なくなったことや、店を売ったことも織り込まれていました。
ドラマは、鈍行に乗り、小さな駅で降りたところで終わっていました。
ドラマだけの世界のようにも思えますが、百年に一度の不況と言われている今、敢えて、こうしたドラマが
作られているということは、人生観、価値観を見直してはどうかという提案なのかも知れません。
妻の視点で見ると、夫が信じて疑わない仕事へ取り組む姿勢や、仕事そのものが、別次元のように思えてきます。
人生観や、価値観というのは、もちろん、極めて個人的なことですが、人は、育った時代の影響も少なからず
受けているようです。
人の生き方そのものは、ドラマのような訳にはいかないのかも知れませんが、何に重点を置くのかによって、
人生は、全く変わってくるのかも知れません。