昨夜、テレビ東京のカンブリア宮殿という番組を見ました。

新聞のテレビ欄には「その男がデザインする商品は、なぜ売れるのか、ケンカ屋デザイナーの面白発想術」
とありました。



最初に見たテレビ画面は、家具売り場に置かれた薄型テレビでした。
元々は、家具を売るための小道具だったようですが、そのテレビに人気が集まり、それまでの年間売上が、
6倍になったそうです。デザインの力でした。すっきりしたスマートな形は家具感覚なため、部屋での違和感
もないようです。購入者の印象が伝えられていました。



デザイナーは、川崎和男さんでした。大手電機企業に就職されていましたが、事故に遭われたようで車椅子の
生活を余儀なくされ、失意の内に故郷の福井県に戻ったそうです。当初は、東京にあるもので、福井にはない
ものを考えていたそうです。何もすることがないので、車で夕陽を見に行き、砂利道を通った時に、福井に
あって東京にはないものという逆の発想が生まれたそうです。



この砂利だって、東京へ持っていけば、ということから、福井の伝統産業の刃物をデザインすることになった
そうです。当初、刃物職人からは、全く相手にされなかったそうです。包丁をデザインした図面など、それ
まで見たことがなかったそうです。職人にデザインの仕事を分かってもらうために、デザイン作業の現場を
付き合ってもらったそうです。同じように見える線が、2ミリ違った線を引いたことから、デザインへの理解も
変わり、認めてもらえたそうです。



鉄製の包丁は錆びます。それまでの業界には存在しなかった素材のステンレスで包丁を作ることを提案し、
その熱意に、職人が応えることになりました。



結果、数々のグッドデザイン賞に輝き、日本だけではなく海外からも高い評価を得ました。
現在では、観光バスが乗りつける土産館となり、3万円の包丁など売れるはずがないと言われていましたが、
次から次に売れていました。



カナダ第二の都市モントリオールに、優れたデザインが10点展示されています。
その中に、川崎さんがデザインされた人工心臓が展示されています。女性学芸員が、そのデザインの美しさを
絶賛していました。単に、デザインの美しさだけではなく、その機能性は理に適い、既に、東大の研究室で
実践されていました。人工心臓を装着されたヤギが、500数十日間生存していました。人間に実用化される日
が来るのも、案外近いのかも知れません。



とても驚きました。デザインには、商品を超える大きな力がありました。日本には、数々の技術があります。
そこにデザインの力が加わると、長い間その道に携わっていた人達さえ気がつかなかったような付加価値を
産み出していました。現実に売上を伸ばすという、目に見えた力を持っていました。また、デザインが医療
の現場で、その力を発揮しようとしています。



ホンジュラスでお世話になった青年海外協力隊デザイン隊員のSさんのことを、思い起こしながらテレビを
見ていました。






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