ホンジュラス関係の各紙の記事です。

毎日新聞
ホンジュラス 追放の大統領帰国 暫定政権は態度硬化
[メキシコ市・庭田学]中米ホンジュラスで6月に起きたクーデターで国外追放されていたセラヤ大統領が21日、
ひそかに帰国し、首都テグシガルパに入った。セラヤ氏がクーデター後、首都に戻るのは初めて。AP通信によると、
セラヤ氏はブラジル大使館に滞在している。暫定政権側はただちに外出禁止令を発令。ブラジル政府に対し、
セラヤ氏引き渡しを要求するなど態度を硬化させている。
 セラヤ氏はグアテマラなどの周辺国から陸路で帰国したらしい。20日エルサルバドル入りしたことが確認されて
いる。21日、テグシガルパのブラジル大使館から突然テレビに出演し、「今から話し合いを始めよう。軍は銃を置く
時だ」と暫定政権側に対話を呼びかけた。同大使館周辺にはセラヤ氏支持者が集結した。
 セラヤ氏と暫定政権は、コスタリカのアリアス大統領の仲介で政治危機打開を図っていたが、ミチェレッティ暫定
大統領は「セラヤ氏が我々の同意なしに帰国したことで、仲介は決裂した」と述べた。また、セラヤ氏を逮捕し、裁
判にかける姿勢を強調した。暫定政権は、セラヤ氏が国家反逆罪などの罪を犯したとしている。
 セラヤ氏の任期は来年1月27日まで。11月29日に大統領選が実施される予定で、既に選挙運動が始まっている。
大統領に復帰するタイムリミットは迫っており、電撃的な帰国で事態打開を図る狙いがあるとみられる。
 米州機構(OAS)は21日、セラヤ氏の帰国を受け、暫定政権に対し同氏の身の安全を保障するよう要求。ブラジルの
ルラ大統領は滞在先のニューヨークで改めてクーデターを非難した。米国のクリントン国務長官は流血の事態を避
け、話し合いをするよう求めた。
 セラヤ氏は6月28日に軍に連衡され、国外追放された。7月に隣国ニカラグアとの国境から一時的にホンジュラス
内に入ったことがある。国連など国際社会は同氏の大統領復帰を求めており、暫定政権は孤立している。



ホンジュラスのクーデターを巡る経緯
6月28日 セラヤ大統領を軍が拘束し、コスタリカに移送。
国会はミチェレッティ国会議長を暫定大統領に指名
7月 5日 セラヤ氏が帰国を図るも軍が阻止
   7日 クリントン国務長官がセラヤ氏と会談。
      コスタリカによる調停交渉を支持
   9日 コスタリカの仲介で交渉始まるも進展なし
  24日 セラヤ氏、陸路ホンジュラス領内に一時入る
8月27日 ミチェレッティ暫定大統領、大統領辞任を条件にセラヤ氏の帰国を認めると提案



読売新聞
ホンジュラス 大統領が帰国強行 暫定政権に対話要求
マナウス(ブラジル北部)=小寺以作]中米ホンジュラスで6月に起きたクーデターで国外追放されたセラヤ大統領
が21日、約3か月ぶりに帰国し、首都テグシガルパのブラジル大使館に入った。大統領は対話を求めているが、セラ
ヤ氏を国家反逆容疑などで逮捕する方針を示している暫定政権大統領のミチェレッティ氏側は、ブラジル大使館に
引渡しを要求しており、ホンジュラスの政情は再び、緊迫化しつつある。
 大統領は、「対話のために来た」と述べ、政権復帰を目指し、ミチェレッティ氏との直接対話を求めている。AP
通信によると、ブラジル大使館前には同日、セラヤ大統領の支持者数千人が集結、大統領は敷地内から、「もう誰も
私を追放できない」と述べ、暫定政権に圧力をかけるため抗議デモを行うよう呼びかけた。
 これに対し、ミチェレッティ氏はセラヤ大統領に4件の容疑で逮捕命令が出ていることに言及、「(セラヤ氏は)
罪を償わなくてはいけない。ほかの選択肢はない」と述べ、対話に応じない姿勢を示した。暫定政権はまた、デモを
防ぐため、22日夕まで外出禁止令を出し、首都の国際空港を閉鎖した。
 ホンジュラス情勢をめぐっては、コスタリカのアリアス大統領が、セラヤ氏と暫定政権間の調停を行ったが、双方
の主張の隔たりは埋まっていない。ミチェレッティ氏は11月に大統領選を行う考えを表明しており、セラヤ大統領は
焦りを募らせて、帰国を強行したと見られている。



朝日新聞
ホンジュラス 大統領が強行帰国 国外追放から2ヵ月余
[ロサンゼルス=堀内隆]中米ホンジュラスからの報道によると、6月28日のクーデターで国外追放されたセラヤ
大統領が、21日に帰国を強行し、首都テグシガルパのブラジル大使館に保護された。支持者のデモを抑えるため
ミチェレッティ暫定政権が外出禁止令出す一方、セラヤ氏を支持する労組が全国でストに入る方針を示すなど、
緊張が高まっている。
 セラヤ氏は暫定政権との直接対話を求めており、クーデターを批判してきた米国などからも、暫定政権に対話を
迫る圧力が強まっている。
 セラヤ氏は11月の大統領選を前に、憲法にある再選禁止規定の撤廃の是非を問う国民投票を計画し、軍事クーデ
ターで国外追放された。
 軍事政権の歴史からようやく脱した中南米で再発したクーデターは、国際社会の非難を浴び、暫定政権は友好国
だった米国から援助を打ち切られるなど国際社会で孤立。それでもセラヤ氏の帰国を認めない方針を貫いてきた。
 セラヤ氏が米CNNテレビに語ったところでは、セラヤ氏は20日夜に隣国グアテマラに入り、陸路で15時間かけて
テグシガルパに到着。AP通信に「今は和解の時だ」と話し、暫定政権に直接対話を求める考えを示した。
 これに対し、暫定政権はブラジル大使館前に集まったセラヤ氏の支持者を抑えるため、首都に22日夕方までの外出
禁止令を出した。外出禁止の時間帯になっても支持者は大使館前に残ったが、地元メディアによると22日朝、警官隊
催涙弾を使ってデモ隊を排除し始めた。
 また、セラヤ氏を支持してきた教員組合が22日から全国で無期限ストに入る方針を示すなど、混乱は首都から全国
に広がる気配だ。首都の国際空港は、離着陸が無期限禁止になっている。
 国際社会からの対話圧力も強まっている。ミチェレッティ氏は21日のラジオ演説でブラジル政府にセラヤ氏の引き
渡しを求めたが、ブラジル側は応じず、アモリン外相は「次の段階の交渉への道が開かれることを望んでいる」と述
べた。
 米国もセラヤ氏の帰国実現を事態正常化の好機とみており、クリントン国務長官は21日、記者団に「対話が始まる
ことが不可欠」と語った。米国務省は今月、事態が改善されなければ、11月に行われる大統領選の結果を認めない
考えを示しており、ミチェレッティ氏が何の手も打たなければ、南北アメリカの最貧国の一つであるホンジュラス
次の政権でも国際社会から孤立するのは必至だ。



産経新聞
セラヤ氏が電撃帰国 ホンジュラス暫定政権と衝突懸念
[ニューヨーク支局]中米ホンジュラスのクーデターで国外追放され、大統領を解任されたセラヤ氏が21日、電撃
帰国し、首都テグシガルパ入りした。セラヤ氏は暫定政権に対して平和的な対話による復職を求める考えを示して
いるが、政情の一層の混迷は避けられず、セラヤ氏支持派と暫定政権との衝突につながる恐れもある。
 クーデター後、セラヤ氏が首都に戻ったのは初めて。現在はブラジル大使館に身を寄せており、ミチェレッティ
暫定大統領はブラジルに対して、身柄の引き渡しを求めている。
 セラヤ氏はロイター通信に対し、「私は国民に選ばれた正当な大統領だ。それがここに来た理由だ」と述べ、
復職を求める考えに変わりがないことを強調した。
 暫定政権は全国に外出禁止令を出したが、ブラジル大使館周辺にセラヤ氏支持の住民数千人が集まるなど緊張が
高まっている。
 クリントン国務長官は同日、「対話が始められることが必要だ」と述べ、セラヤ氏と暫定政権の双方に冷静な
対応を求めた。
 ロイターなどによると、セラヤ氏は陸路で入国し、軍のチェックポイントを避けるために車を乗り継いで山中を
移動し首都に入った。どこから入国したかは明らかになっていない。
 ホンジュラスでは6月28日、大統領再選を可能にする憲法改正に関する国民投票を強行しようとしたセラヤ氏に
対し、軍部がクーデターを決行。コスタリカによる調停も暗礁に乗り上げていた。



日本経済新聞
ホンジュラス 追放のセラヤ氏 帰国
[リマ=檀上誠]中米ホンジュラスからの報道によると、同国で6月に発生したクーデターで大統領職を追われた
セラヤ氏が21日、ひそかに帰国し、首都テグシガルパのブラジル大使館に入館した。同氏は大使館周辺に集まった
支持者に「抵抗か死か」と、クーデター後に発足したミチェレッティ政権への抵抗を呼びかけた。セラヤ氏を支援
する周辺国とミチェレッティ氏側との対立で行き詰まっていたホンジュラス情勢は再び流動化しはじめた。
 ミチェレッティ政権側は同日、ブラジル政府にセラヤ氏の引き渡しを求めたが、ブラジル政府はセラヤ氏を保護
する方針。ミチェレッティ氏は同日、全土に夜間外出禁止令を発令した。







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