日航 公的資金の出資要請 東京新聞の記事です。

国交相は「改善計画不十分」
 経営再建中の日本航空の西松遥社長は二十四日、前原誠司国土交通相と会談し、改正産業活力再生特別措置法
(産業再生法)に基づく、公的資金による出資支援を要請したことを明らかにした。これに対し、前原国交相
日航が策定中の経営改善計画の具体性が不十分。はいそうですか、と言って公的資金を出すことはできない」
と言明。今後、産業再生法日航に適用されるかは不透明な情勢だ。
 会談後、西松社長は「昨年九月以前を見ると、前年度は九百億円の営業黒字を出している。(適用の条件は)十分
にクリアできる」と自信を見せた。しかし前原国交相は「対応の腹案があるが、首相と相談し、時間の制約もある
のでできるだけ早く結論を出したい」と述べた。
 前原国交相はこの日、西松社長や日航に融資する日本政策投資銀行(政投銀)などの銀行団から、経営改善計画の
内容や、計画の実現可能性などについて、初めて聞き取りをした。前原国交相は就任直後に、国交省が計画の是非
を検討するために設置した有識者会議の廃止を表明。日航や銀行団から直接、意見を聴取することで、政治主導で
再建策を検討することにした。
 産業再生法は、国が経営難にある民間企業を認定し、公的資金を注入して支援する仕組み。政投銀が、公的資金
優先株などを購入して出資。出資した企業が破綻し損失が出た場合、国が五〜八割を税金で補てんする。




リストラのコスト確保へ 日航 公的資金要請
金融機関 二の足 弱い経営基盤 抜本策不可欠に
 経営再建中の日本航空が、前原誠司国土交通相に、改正産業活力再生特別措置法(産業再生法)に基づく公的資金
による増資を要請した。背景には、路線見直しや人員削減など大規模リストラ策を実施する上で、国のお墨付きを
得て、より確実に資金調達を図りたいという思惑がある。
 今回の日航の要請に対し、前原国交相日航に出資する銀行団の反応はいまひとつだ。日航が策定中の経営改善
計画への評価が一様に低いためだ。日航が計画を抜本的に練り直さない限り、思惑通りにはいかない流れだ。
 日航は今年六月、政府保証が一部ついた一千億円の融資を日本政策投資銀行(政投銀)やメガバンクなどから受け
た。しかし、二〇〇九年四〜六月期の連結決算は純損失が九百九十億円と、融資額が一気に吹き飛んだ。日航
年末までに、さらに一千億円を超える融資を求めているが、融資が?湯水?のごとく消えていく状況に、銀行側は
「このままでは新たな金は出せない」(銀行幹部)と二の足を踏む。
 日航は九月までに策定する経営改善計画で、グループ人員の約14%に当たる六千八百人の削減、国際・国内線
の五十路線廃止といった不採算路線の見直し、米デルタ航空や米アメリカン航空との資本業務提携などを盛り込む
方針。
 リストラ策を進めるためにも、追加の融資は不可欠で、公的資金による増資で財務体質の強化を図り銀行団の
理解を得たい考えだ。
 西松社長は産業再生法の適用に「十分クリアできる」と自信を見せる。だが同法は、金融危機で経営が悪化した
企業の救済を主な目的としている上、三年後の再建が見込めることが認定の条件。
 経営基盤が脆弱な日航への適用に、銀行側からは「(公的資金を注入するなら)国交省が筋道をつけなければ。
前原大臣や民主党が、どこまで本気でやるのかだ」(銀行幹部)と突き放した声も出る。今後、鳩山政権がどう対応
するか。日航再建の行方を左右するだけでなく、政治主導を掲げる新政権の試金石となる。




日航株が最安値
 二十四日の東京株式市場では日本航空株に売りが殺到し、一時一四一円と七月十三日に付けた上場後の最安値
(一六〇円)を更新した。終値は前営業日比二七円安の一四四円。
 ただ、「今のところ破綻は想定されていない」(同)との見方から、安値更新後はもみ合う展開。今後も政府や
金融機関の対応をにらみつつ神経質な値動きを強いられそうだ。






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