チリ地震関係 東京新聞の記事です。

死者400人超、50万戸被害 邦人の被害情報なし
[ニューヨーク=加藤美喜] 南米チリ中部で起きたマグニチュード(M)8.8の大地震で、同国の大地震
同国の防災当局者は二十八日、死者数が四百人以上に達したと述べた。ロイター通信が伝えた。被害を
受けた家屋は全国で五十万戸に上り、バチェレ大統領は「二百万人が影響を受けた」と明らかにした。
 在チリ日本大使館によると、現時点で在留邦人千百九十七人(昨年十月時点)の被害情報はない。
 AP通信によると、同国沖のロビンソン・クルーソー島に津波が押し寄せ、少なくとも五人が死亡、
十一人が行方不明となった。
 AP通信によれば、震源地に近い同国第二の都市コンセプシオンではスーパーマーケットなどで略奪が
あり、警官隊が放水車や催涙ガスを使用した。市内は電気が完全に遮断されたほか、十五階建てビルが
崩壊して、約百人以上ががれきの下敷きになっているとみられている。
地元メディアによると中部チランでは、刑務所の壁が崩れ、収監者二百六十九人が脱走した。
 米地質調査所(USGS)は地震後、M 4.9から 6.9の余震を五十回以上記録したと発表。
 国連の潘基文(バンキムン)事務総長は二十七日、被害者に哀悼の意を示すとともに、国連人道問題
調整事務所(OCHA)を通じてチリへの迅速な援助をする用意があるとの声明を発表した。



情報把握遅れ 日本企業 銅、水産物の調達影響も
 大地震が起きたチリは銅やレアメタルの一つであるモリブデンの調達先として知られるほか、日本
へはサケなどの水産物を多く輸出している。日本企業は駐在員らの安否確認やビジネスへの影響を調査
しているが、現地情報は少なく被害状況の把握は遅れている。貿易への影響を懸念する声も出始めた。
 チリは世界最大の銅の産出国。日本貿易振興機構(ジェトロ)などによると、二〇〇八年時点でチリ
から日本への輸入品のうち金額ベースで四割強を銅が占める。子会社を通じ四鉱山に投資する日鉱金属
は駐在員十六人全員の無事を確認。三井金属住友金属鉱山三菱マテリアルなども駐在員らの安全を
確認した。
 銅鉱山の多くは震源地から遠く、地震による操業自体への影響は少ないとみられるが、港湾などの被
災で出荷が長期に止まる可能性がある。「二ヵ月も葉愛ってこなくなれば銅製品の生産に影響が出る」
(三菱マテリアル)との声も上がる。
 チリは回転ずしのネタにもなる養殖サケの産地としても有名。現地で養殖などを手掛ける日本水産
は駐在員らの安全は確認したが「設備への被害把握はこれから」(広報)としている。



チリ 震源地近くで略奪発生 地震国、備えには評価も
[ニューヨーク=加藤美喜] 二十七日未明に南米チリを襲ったマグニチュード(M)8.8の大地震は、死者が
四百人を超える大きな被害となり、さらなる死者数の拡大も懸念されている。震源地に近いチリ中部の
コンセプシオンでは略奪行為が発生、大勢の人々が依然として、眠れぬ夜を過ごしている。
 チリのバチェレ大統領は二十七日、被害の大きなチリ中部に「激甚災害」宣言をした。AP通信によれ
ば、コンセプシオンでは二十八日朝から多数の被害者らが、市内にある複数の大型スーパーに殺到し、
窓ガラスを破ったり倉庫のシャッターをこじ開け、ミルク缶などの食料品や日用雑貨などを次々に
略奪、警察隊が鎮圧する騒ぎとなった。
 生存者の捜索が続くコンセプシオンでは電気や水の供給は途絶えたまま住民は窮乏を強いられて
いる。ある市民はロイター通信に「長時間何も食べていない。自分で物資を調達するしかない」と話
した。
 チリ政府には国連事務総長らが人道援助の用意を表明したが、チリは各国への援助を要請していな
い。世界最大の輸出を誇る銅産業も影響が懸念されたが、当面の輸出や供給に問題はないという。
 一方、米ロサンゼルス・タイムス紙は今のところハイチ地震のような壊滅的被害を免れている点を
取り上げ、「地震に十分な備えができている」と評価した。
 クリスチャン・サイエンス・モニター紙(電子版)も、チリが一九六〇年のM 9.5地震をはじめ数々の
巨大地震に見舞われてきた歴史を紹介。学校で地震避難訓練が頻繁に行われていることや、耐震建築
基準の高さなどに着目した。ロイター通信はバチェレ大統領が地震直後からテレビに登場し、国民へ
の状況説明と冷静な行動を繰り返し呼び掛けたことを取り上げ、ハイチのプレバル大統領が地震
しばらく消息不明となったことと比較して、チリ政府の危機対応能力の高さを評価した。



米、積極支援の構え 中南米求心力回復狙う
[ワシントン=嶋田昭浩]南米チリの大地震を受け、オバマ大統領は二十七日午後(日本時間二十八日
午前)、ホワイトハウスで「チリの人々が必要とするなら救援・復興活動を支援する用意がある、と
バチェレ大統領に(電話で)伝えた」と報道陣に語った。クリントン国務長官も、二十八日からチリ
など中南米五カ国を歴訪する予定。ハイチ地震での迅速な対応に続き、チリへの積極的な支援姿勢を
アピールすることで米国の中南米での求心力回復を狙う。
 中南米・カリブ地域三十二カ国の首脳らは二月二十三日、米国とカナダを除いた新たな地域機構の
設立に合意し、「米国離れ」を鮮明にしたばかり。
 だが、チリは、一九九〇年のピノチェト軍政の終結以来、民主的な政治体制が続き、今回も選挙に
よる政権交代の最中にある、米国との間にも大きな懸案はなく、オバマ大統領は「チリは米国の親しい
友人でパートナー」と強調。救援・復興への関与は、「民主主義体制への支援」という米国の姿勢を
強調する格好の舞台となる。
 一方、クリントン長官は、地震前から予定していた中南米諸国訪問で、イラン核問題で米国と一線を
画し、制裁に消極姿勢を見せる国連安全保障理事会非常任理事国のブラジルのルラ大統領らを直接説得
する方針だ。
 クリントン長官は二十七日の声明で、予定通り南米に出発することを確認し、「チリのバチェレ
大統領らと緊密に連絡をとる。われわれ(南北米大陸の)西半球(諸国)は、危機のときこそ協力し合う」
とした。
 ハイチ地震に続いて素早い支援姿勢を示すことで、ボリビアベネズエラなど南米の反米政権から
の批判を封じる狙いもある。



 



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