チリ 政界の“断層”も露呈 東京新聞の記事です。

地震 対応めぐり左右対立
[サンティアゴ=嶋田昭浩] チリのバチェレ大統領は三日、テレビ演説やラジオ番組を通じて、大地震
で対応の遅れを批判された政府の取り組みを必死に擁護した。中道右派のピニェラ次期大統領の就任
が十一日に迫り、自身が代表してきた左派政権の「遺産」を無傷のまま守ろうとする思惑がうかがえ、
左右対立激化の兆候ともいえる。米紙は「大地震はチリ政治の断層線を露呈させた」と指摘。チリの
今後の不安定化を予測する識者らの見方を伝えている。
  バチェレ大統領は、テレビで「十分な食料や燃料がある。だから冷静でなければならない」と国民
に買いだめ自制を呼びかけた後、ラジオで「自信を持ってほしい。チリは再び自分の足で立とうとして
いる」と訴えた。
 一九九〇年のピノチェト軍政の終結以来、チリの左派政権は、過激なイデオロギー闘争の影響を受け
ず、左右双方の政治思想からアイデアを借りて、現実路線を推進。バチェレ大統領も二〇〇八年の金融
危機を巧みに乗り切り、70%超の支持率を維持。一月の大統領選決選投票で勝利したピニェラ氏も、現
政権の政策を否定しない姿勢を示していた。
 ところが、地震後、国際社会に救援を求めるのが遅れたなどとして、現政権への批判が強まった。
被災地への軍の出動を歓迎する動きもあって、軍政下で辛酸をなめたチリ社会の右傾化を指摘する声が
聞かれる。
 四日付の米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)は「チリの政治風景は変わり、二十年続いた安定から
二極化の争いに陥る恐れのある“断層線”をさらけだした」とする識者らの見解を紹介。
地震が(今回の)政権移行を複雑にさせた」と強調している。








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