チリ ピニェラ大統領が就任 東京新聞の記事です。

20年ぶり政権交代地震の再建課題
[サンティアゴ=嶋田昭浩] チリのセバスティアン・ピニェラ新大統領(60)は11日午後(日本時間12日
未明)、首都サンティアゴ西方のバルパライソの国会で宣誓し、正式に就任した。就任式直前には余震
とみられる強い地震が発生。今年1月の大統領選決選投票で、1990年のピノチェト軍政終結から20年
続いた中道左派政権に終止符を打ったピニェラ氏は、経済的損害が推定300億?(約2兆7千億円)とも
される大地震の被害の重荷を背負いながら、まったなしで「再建の政府」を率いる。
 任期満了直前に地震に見舞われ、対応の遅れを批判されたバチェレ政権を引き継ぐピニェラ新大統領
は、最優先の課題として震災対策を迫られており、略奪などを防ぐため、軍などを活用した治安対策に
力を注ぐ構えだ。
 元上院議員のピニェラ氏は、米ハーバード大卒の経済学者で、チリで3番目の富豪とされる実業家。
震災による幹線道路や港湾など物流拠点の被害が深刻な中で、年率6%の経済成長目標を崩していない。
当初は復旧・復興事業の需要が見込まれるが、その後、いかに経済成長を軌道に乗せ、目標に掲げる
百万人の雇用創出を実現するかが課題となる。



チリ新政権 軍の撤収時期 カギ 長引けば国民に不安も
[サンティアゴ=嶋田昭浩] 11日就任のチリのピニェラ新大統領に国民が期待するのは「変革」と
「経済活性化」だ。加えて、震災後の治安維持も主要な課題。しかし、地震を機に「チリ社会の
右傾化」が指摘される中で、40代以上の国民が抱き続けるピノチェト軍政の不快な記憶を呼びさま
さぬように、街頭からの軍の撤収時期をめぐり新大統領は難しい決断を迫られる。
 「(任期満了の)バチェレはいい大統領だった。ただ、家を持つ人にも、持たない人にも、新たな家
を提供するような政策だった」とトラック運転手のセサルさん(37)。津波に襲われた中部ディチャト
の自宅でがれきを片付けながら言う。退陣する中道左派政権が、社会政策重視のあまり「非効率」に
陥ったとの見方だ。
 10日のチリ紙によると、大地震後の世論調査でもバチェレ氏の支持率は84%を記録。にもかかわら
ず、中道左派連立政権に多くの国民は「閉塞感」を覚え、1月の選挙でピニェラ氏に投票した。
 「大富豪のピニェラ氏は、国民からカネを巻き上げるような政治はしないだろう。むしろ雇用を創出
し、国全体のカネ回りをよくする政策が期待できる」とセサルさん。
 バチェレ政権は、震災への対応が後手に回ったと批判され、10日にはフェルナンデス非常事態庁長官
が辞任。国民の間にも、中道左派政権の指導者が、かって対決した軍政を意識するあまり軍の出動に
二の足を踏んだ、との見方が根強い。
 今、被災地では、街頭に展開する兵士を歓迎する声が大半だ。だが、40代後半以降の住民からは
ピノチェト時代を思い出す」と不安も聞かれ、部隊出動が長引けば中道右派政権と軍を結びつける
見方も広がりかねない。
 ただ「軍を引いて治安が悪化すれば新大統領の責任」(サンティアゴの外交筋)とあって、早期の撤収
は困難のようだ。





チリ中部でM7.2 同国沿岸部に津波警報
[サンティアゴ=嶋田昭浩] ロイター通信などによると、チリ中部で11日午前11時39分(日本時間同日
午後11時39分)、マグニチュード(M)7.2の強い余震が発生した。これを受けチリ海軍は、同日、同国
太平洋沿岸部に津波警報を発令した。
 震源地は首都サンティアゴ南西約150?で震源の深さは35?。チリでM8.8の地震が2月27日に発生
以来、最大の余震とみられる。
 地震は、首都サンティアゴ西方バルパライソにあるチリ議会で11日正午から行われたピニェラ
新大統領の就任式の直前に発生。議会ビルでも揺れが感じられたが、就任式は予定通り行われた。
同通信によれば首都でも揺れが感じられた。








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