エコ世論 マグロ漁のむ 読売新聞の記事です。

[パリ=林路郎] 13日に開幕したワシントン条約締約国会議で大西洋・地中海クロマグロの国際商業
取引を禁じるか否かの協議が行われるが、国際議論の流れを大きく変えたのが、欧州連合(EU)の禁輸
支持、わけても日本の食文化に深い理解を持つフランスの禁輸方針への転換だった。支持を広げる
エコロジー・環境重視の政治潮流が、マグロ漁関係者らの要望を押し流した構図だ。



証拠より感情 仏、一転「禁輸支持」
 今月10日、パリの全仏漁業者委員会に、約50人のマグロ漁師が集まり、ルメール農業水産相の側近
に食ってかかった。
 「マグロが減っているという科学的な証拠は何もないだろう」「俺たちの未来はどうなるんだ」
 仏やイタリアの学界にも、クロマグロの絶滅を示すデータの不在を指摘する声はある。それでも、
欧州で禁輸支持が完全に大勢となったのは、環境重視を掲げる政党や非政府組織(NGO)の働きかけが
政治的なうねりとなったからだ。
 環境政党・欧州エコロジー党や、グリーンピース世界自然保護基金(WWF)などのNGOは、「乱獲や
密漁でクロマグロは絶滅寸前。ウミガメやサメまで巻き添えにしている」と情に訴え、ネットや漁港
で多角的な抗議行動を展開した。
 特に効果的だったのは、飲食店に「クロマグロを使わないで」と働きかけるキャンペーン。有名
シェフらが応じ、メディアも大きく取り上げた。
 今年初めの世論調査では、6割近い仏国民が禁輸に賛成した。これを受けて、「科学的証拠なしに
禁輸に賛成しない」としていたサルコジ政権も2月3日、禁輸支持への転換を表明した。欧州エコロジー
党の得票率は、14日の仏地方選で13%を突破し、04年選挙の2%未満から大きく上積みした。
 パリ第1大学のダニエル・ギャクシー大学院長(政治学)は、「欧州の有権者意識は、環境や自然、
弱者、女性、人権の保護などを重視する『ポスト物質主義』へと動いている」と分析する。欧州各国
の政府は、こうした政治動向を無視できなくなった。
 かたや、仏のクロマグロ漁業人口は零細業者を合わせても約650人。マグロを食べる人は人口の1%
もおらず、その声は小さい。大型船で捕獲した漁獲量の8割を日本に輸出してきた仏マグロ漁関係者は、
「禁輸が決まったら地中海マグロ漁は永遠になくなる」と絶望感を募らせている。



海洋生物保護へ海域設定めざす EU環境相理事会
[ブリュッセル=尾関航也] 欧州連合(EU)は15日、ブリュッセル環境相理事会を開き、生物多様性
保護に関する共通政策を採択した。公海の海洋生物保護のため、国際的な保護海域の設定を目指すなど
の方針が盛り込まれており、10月に名古屋で開かれる生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)に臨む
EUの基本指針となる。



フランスのクロマグロ漁業
 漁獲量は年間上限2020?と、EU加盟国中、最大で、全体の2割を占める。うち1699?は、長さ24?を
超す17隻の大型漁船によって捕獲され、EU域外へ輸出される。輸出前に脂肪分を増やすため、スペイン
やマルタの蓄養場に送られ、そこから日本に運ばれる。







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