チリ・マプチェ族 地震しのいだ先住民族の知恵 朝日新聞の記事です

伝統家屋、くい打ちはり組むだけ
 先月末にマグニチュード(M)8.8の大地震に襲われたチリは、昔からたびたび大地震を経験して
きた。そのチリで、先住民族マプチェの伝統家屋の被害は少なかったという。人びとの暮らし
から、地震をしのぐ知恵がうかがえる。マプチェが多く住む中南部テムコを訪ねた。
 テムコは今回の大地震震源からは約300?離れているが、市街地のいたるところで窓ガラス
が割れ、壁がはがれ落ちていた。「マプチェの家は倒れなかった。でも、近くにある(西洋式の)
教会は倒れたよ」と郊外の村に住むドミンガ・ニクルマン・マリキオさん(74)は話した。
 ドミンガさんは、マプチェ族の伝統を生かした、地面にくいを打ち込んではりを組んだだけの
木造家屋に暮らす。村には約100人が住むが、地震で倒壊したのは、れんがやセメントを使った家
ばかりだったと言う。
 マプチェ語の専門家で、伝統文化に詳しいフロンティエラ大学元教授ロセンド・ウィスカさん(58)
によると、マプチェ族の伝統住居はわらぶきで、1950年代ごろから木造に変化した。伝統のわらぶき
の家は、地震の揺れをよく吸収した。床をセメントなどで固めないことも重要という。
 ドミンガさんの家の床も土間のまま。「自然が一番安定している」。60年の大地震の時はわらぶき
の家で被害はなかった。15年ほど前に今の木造に建て替えたが、「今回の地震でも棚の食器は落ち
なかった」と言う。
 マプチェ族は、気温や雲の色の変化などから、地震などの予兆を読み取ることができた、との言い
伝えもあるという。ウィスカさんは説明する。「マプチェ族は、地震を暮らしの一部として受け止め、
それと調和するように暮らしてきたのです」  (テムコ<チリ中南部>=丹内敦子)






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