クロマグロ保護「寄付金集めの象徴」 産経新聞の記事です。

環境団体の欺瞞を指摘
ワシントン条約元事務局長 ユージン・ラポワント氏
[ロンドン=木村正人] 絶滅の恐れのある野生動植物を保護するワシントン条約の事務局長を務めた
ユージン・ラポワント氏=写真=は産経新聞の電話取材に「大西洋・地中海産クロマグロの禁輸を
求める団体は動物保護だけを訴え、それにかかわる人間の生活を守ることには注意を払わない」と
語った。そのうえで、「クロマグロ保護は寄付金集めの象徴になった」と活動の欺瞞性を突いた。
 カナダの大自然の中で育った氏は子供のころ、ヤマウズラや野ウサギを捕らえた経験から、自然の
恵みを享受する大切さを学んだ。同国政府で勤務後の1982年、同条約事務局長に就任したが、89年に
象牙取引をめぐり環境団体と衝突。全面禁止は象牙彫刻など伝統産業を壊滅させるため、氏は適正な
管理を行う国を支持したからだ。
 結局、象牙取引は同条約で全面禁止となったが、氏は環境団体から「象を激減させた」と攻撃され
続けた。
 現在、野生動植物の持続的利用を提唱するNPO「世界自然保護財団」(本部・カナダ)会長として
カタールでの同条約締約国会議に出席している氏は「92年にも大西洋・地中海産クロマグロを同条約
絶滅危惧種に指定しようという提案があったが、あの時は象の保護が焦点で関心が集まらなかった。
今回は世界自然保護基金(WWF)など動物保護団体や環境団体から数百万?の資金がクロマグロ問題に
投じられており、交渉は難しくなるだろう」と指摘した。
 氏によると、70年代の反捕鯨運動で環境団体はクジラが捕獲される衝撃的な写真を掲げ、日本や
アイスランドなど捕鯨国の責任を名指しすることで巨額の寄付金集めに成功したという。
 80年代には象、その後サメ、クルマグロと対象は変わったが、寄付金集めのメカニズムはそのまま
維持された。クジラやクロマグロなど日本に矛先が向けられやすいのは「彼らは悪役を探しており、
日本のような経済大国を標的にすれば巨額の寄付金が集められるからだ」という。
 氏は「動物保護運動は自然資源で暮らす人々の視点を欠いている。ワシントン条約の介入は多くの
漁師の生活を壊し、条約そのものをむしばむものだ。締約国会議で常識が示されることを望んでいる」
と強調した。







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