クロマグロ禁輸 否決 東京新聞一面トップ記事です。

ワシントン条約国会議 委員会で反対大差 大西洋・地中海産 取引継続強まる
[ドーハ=内田康] カタールの首都ドーハで開かれているワシントン条約締約国会議の第一委員会は
18日、大西洋・地中海産クロマグロ(本マグロ)の国際取引を全面禁止するよう求めるモナコ提案など
に討議した後、採決した。その結果、モナコ案と欧州連合(EU)修正案は否決され、委員会では禁輸
反対の流れができたが、24日からの全体会合で禁輸賛成国の巻き返しも予想される。この海域の
クロマグロの約8割は日本に輸出されており、消費者や関係業者への影響は大きい。
 採決ではモナコ案への賛成が20票、反対が68票という結果になった。EU修正案も反対多数で否決
された。
 モナコ案は、クロマグロを絶滅の危機がある生物とし、国際取引を禁じる「付属書?」に掲載する
内容だった。一方、日本側は資源管理機関「大西洋まぐろ類保存国際委員会(ICCAT)による規制強化で
資源回復が可能と訴えた。
 モナコ案に対し、EUは18日、修正案を発表。「付属書?」に掲載はするものの、来年5月まで猶予
期間を設けてICCATの規制強化の効果を見守った上で、条約発効の是非を最終決定するとした。日本
政府はICCATからワシントン条約に取引規制の“決定権”が移ることは容認できないとして反対した。
 最終的には24、25の両日に予定される全体会合で決定される。ただ、約150ヵ国の参加国のうち、
全体会合で3分の1が賛成すれば、再採決になる。さらに禁輸賛成国が投票国の3分の2以上の票を集め
れば、委員会決定が覆る可能性も残されている。
 モナコ案には米国、ケニアなどが賛成。カナダ、セネガル、韓国などは反対した。現段階ではクロ
マグロの禁輸を回避できる可能性が高まっている。



想像以上の結果 赤松広隆農相の話
想像以上の良い結果が出た。これだけの差がつくと、本会議(全体会合)は委員会の結果を承認する
だけになるだろう。資源管理についての日本の積極的な姿勢を各国に訴えてきた。必ず理解を得ら
れると確信していた。



EU諸国、足並み乱れ
 大西洋・地中海産のクロマグロの取引禁止を求めるモナコ提案などが大差で否決されたのは、EU
内に意見対立があったことや、日本支持に回った中国によるアフリカ諸国など途上国への説得が功を
奏した結果とみられる。
 採決結果は、来年5月まで猶予期間を設けるEU修正案の賛成票が43票あったものの、モナコ案支持は
EU加盟27ヵ国の数にも満たない20ヵ国のみ。
 一部のEU漁業国が反対または棄権したのは確実で、投票直前にアイスランドが賛否が分からない
「秘密投票」を提案したことも大きく影響した。
 EU内にはもともとスペイン、マルタ、ギリシャなど漁業国と、英国、ドイツなど環境重視国の間で
意見対立があった。猶予期間を設けることでは一致できたが、内部調整に手間取り、アフリカ諸国
などを説得する余裕はなかっただろう。
 18日の会合ではチュニジアセネガルなど欧州の強い影響下にある国々も反対を表明。中国が日本
への協力姿勢を示したのは最近だが、資源開発や投資でアフリカ諸国への影響力は極めて強い。EU
もたつく間に、水面下で一気に反対票を固めた可能性が高い。(ドーハ・内田康)





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