ホンジュラスで最初のカルチャーショックは、洗濯機でした。




一口に家事といっても、いろいろに分かれています。
部屋の掃除は、全く問題ありません。炊事は、ご飯が炊ける程度です。
ところが、洗濯ということになると、幸か不幸か、結婚してからは、
したことがありませんでした。妻がパートに出るようになり、躾けられ
そうになったこともありましたが、洗濯機の使い方を問われた娘は、
自分がやった方が早いと、実は、フォローしてくれていました。
遥か大昔、独身時代のほんの一時期に、独り暮らしたことがあり、その
時は、確かに洗濯機を使った覚えがありますが、今のとは異なります。



ホンジュラスで独り暮らしを始めることになり、ほとんど経験した事が
なかったことが、洗濯機を使って洗濯をすることとアイロン掛けでした。



アパートの大家さんには、フィリピン人のメイドさんが、います。
使い方をレクチャーしてくれました。
不思議そうな顔をしながら、指導してくれたことを思い出します。
その時には、意外と簡単なんだと安心しました。



洗濯は、土曜日に行い、日曜日に、ワイシャツのアイロン掛けをすると、
大まかな予定を立てていました。1人分とはいえ、1週間分をまとめての
洗濯となると、それなりの量があります。
レクチャー通り、最初に、ワイシャツと白い洗物、洗剤は、洗濯物半分
位で、カップ1杯、入れ終わった時点で、一番上に、更にカップ1杯を、
手を振りながら少しずつかけるようにというものでした。
次に、それ以外のものの洗濯と、2回に分けて考えていました。



受けたレクチャーというのは、洗濯機の一番上のつまみを、黒の印に合わ
せて、手前に引っ張るというものでした。そうすれば、自動的に水が出ると。
一つ気をつけなければならないことは、黒の印が、すすぎの段階にきたら、
左側にあるスイッチで、水の量を小から大にするようにというものでした。



言われた通りに、つまみの位置を合わせて、手前に引くのですが、肝心の
水が出てきません。何度試みても、水が出ないので、故障しているのでは
ないかと、大家さんに電話を入れました。



怪訝顔のフィリピン人メイドさんは、洗濯機の中を確認してから、
こともなげに、洗濯機を操作しました。水は、直ぐに出てきました。



何が違うのかを尋ねても、ただ印を合わせるだけという返事でした。
確かに、メイドさんのいう通りで、彼女は、初めから黒の印しか見ていな
かったようです。
ところが、私は、一番上のつまみの先を合わせていたのです。
つまみと一緒に連動している黒の印は、元々位置がズレていました。
つまみは、あくまで黒の印を回すための道具で、その位置が、ズレている
ことなど、初めから問題になっていなかったのでしょう。



人の言葉を良く聞きもしないで、勝手な思い込みだったのかも知れません。
でも、この時、日本という国は、何て素晴らしい世界なんだろうと思いました。
もし、この洗濯機が日本製品だったら、つまみの先と黒の印は、きっと同じ
位置で動いていたと思いました。日本では当たり前のようにやっていることが、
実は、海外の他の国と比べると、素晴らしい世界なのだと思えました。
人が相手のコミュニケーションなら、表情から喜怒哀楽を読み取れることが、
あるかも知れません。しかし、相手が機械となると、正しく操作しなければ、
全く機能してくれません。独りで大笑いしました。




人気ブログ・ランキングへ